cinemananakoの日記

映画と芝居と本とアイドル好きな酒飲みおばはんの日記

なぜ自分は「まれ」が好きだったか。

2本目の缶チューハイを開けるかどうか悩んだ末に開けなかった。
よく耐えた、自分。

「まれ」というドラマについて

今週から新しい朝ドラが始まってしまいましたが、わたしは「まれ」が好きでした。
プロのライターさんからもアマチュアの書き手さんからも散々悪口書かれて、わたしのツイッターTLでも続々脱落者が出る中、最後まで一話も逃さずに見た。
もともと朝ドラを見る習慣がないので、これまでに最後まで見た朝ドラは「あぐり」と「あまちゃん」。
そこに「まれ」が加わりました。なぜか全てひらがなタイトル(笑)。

でも「あぐり」も「あまちゃん」も、途中2〜3回見逃してる回があります。
本当に初回から最終話まで全話きちんと見たのは「まれ」が初めてです。

世間様にあんなに悪口言われてたのに、どうして自分はこのドラマが好きだったのか。
ちょっと考えてみました。

ファンタジーとリアリティ。

通常は、あまりファンタジー色の強い*1ドラマは好きではなく、まれみたいにフワフワしたドラマ(悪口書いてた人の表現では「ブレブレのドラマ」)は本来なら見るはずもない。
それをなぜ見たかと言うと、土屋太鳳ちゃんと賢人くんが出るから、というだけの理由だったのです。
最初は。

けれど、「好きな役者さんが出るから」*2という理由だけでは、この忙しい中連ドラを最後まで見続けるのはなかなか難しい。
実際、好きな役者さん出てても、未だに録画見てないものがハードディスクに残ったままです。

どうして今回は最後まで前のめり気味に見続けたのか。
何が自分の中の琴線に触れたんだろうか…よくよく考えてみた結果、それはたぶん

ファンタジー(非現実的部分)とリアリティ(現実的部分)が、自分にとっての絶妙なバランスで絡み合っていたからではないか。

…という結論に達しました。

批判が圧倒的多数だった模様。

わたしが読んだ批判記事(これがまたたくさんあった)の中で、一番嫌悪感を感じたやつがこちら↓toyokeizai.net

登場人物がちゃんと仕事してるところが描写されてない、と書いてあるのですが、あるところはちゃんとありましたし、そもそも登場人物全員のお仕事物語でなく、まれがパティシエを目指すお話なのだから、塚地さんが郵便配達してる描写が少ないことにどういう問題をこの人(たち)は感じるのであろうか。
タレントになる夢が破れて、アパレル店員やキャバ嬢になるのの何が失礼なのか。
この記事を書いた人は、無意識のうちに、芸能界で成功することのほうが、アパレルやキャバよりも上だと思ってるからこういう見方になるんだろう。

肝心の修行シーンがない、というのも、横浜編での修行シーンは流し見でもしていたのだろうか。*3

たぶんわたしとは見ているところが全然違う人たちが圧倒的多数で、以前好きでよく記事を読んでいたライターさんも、毎週「よくもまあ」とむしろ感心するくらいの嫌味満載のレビューを書いていて、そのライターさん自体を嫌いになってしまいました。

とはいえ、お金もらって書かなきゃいけないライターさんが嫌いなドラマを義務で見て、正直に悪い感想を書くのはありかもしれませんが、普通のいわゆる「視聴者」が、まるで文句を言うためだけに毎日ドラマを見ているのが不思議でした。

嫌なら見なきゃいいだけの話ではないか・・・・これは未だに謎。

そもそも自分が朝ドラを普段見ないので、文句を言いつつ最後まで視聴する、という楽しみ方(?)についていけないだけのかもしれませんが。*4


おっと、話がそれました。

見たことのないバランス

そもそも、あまりにもリアリティに欠けるドラマはわたしも好きじゃないんですよ。
「まれ」は確かにリアリティ面は乏しかったです。
ありえないような展開や、「いつ準備したんだよ!!」というような不自然な小道具もたくさん出てきました。
何かというとテレビ対決になるのも変だったし、そもそも圭太みたいなファンタジーな旦那さん、現実社会では見たことがない。

奥さんの夢をとことん応援してくれるけどヒモではなく、遠距離恋愛で結婚してそのまましばらく遠距離結婚。
お前の夢を応援する、俺は俺でがんばるからそれでいい、と言ってくれる男が、今の日本に果たしてどれくらいいるんだろうか。
いないんじゃないか、と思うわけです。*5

わたしが一番感動したのは、まれがお店の準備で出産以来初めて長時間双子を圭太に預けた時。
乳飲み子(しかも双子!)抱えて、仕事に行く奥さんに「楽しんで来いよ!」と言う場面。
うちの旦那さんに初めて預けた時は、乳飲み子一人でも、不安と不満でいっぱいで、「楽しんで来いよ」どころか、預けている間何度も電話が来て困りました。この場合、「早く帰って来いよ!」の方が現実的ですよね。

そういう、夫としてはものすごく非現実的(ファンタジー)な描かれ方をしている圭太が、高校時代には一子とまれの間をふらふらする、自分の周りに過去に実際に存在した「イケメンだけど優柔不断で困った人」そのもの(リアリティ)だったりして、まれにはこういう「突拍子のなさ」と「地に足のついた現実感」が今までに見たことのないバランスで同居している部分が多くて、そこが自分のツボにはまったんだなぁ、と思います。

現実感のなさとして、設定やストーリーのブレが指摘されてますが、自分の実感として、人は毎日迷って、思った通りにいかないことばかりで、計画してもその通りに行くことなどほとんどなく、「この仕事大好きだからしばらく辞めないよ!」と言ってた子が突然辞めたり、まじめ一辺倒の子が突然遊びに狂ったり、シニカルに世の中を斜めに見てた子が突然妊娠出産して信じられないくらい丸くなったり、少なくともわたしの周りには、「ブレブレの人」というのは多数存在する(含む自分)。

それが人というものだし、現実だと思うんですよね。

「まじめにコツコツ」、最後まで本当に計画通りにまれちゃんの人生が進んでいたら、それは果たして本当に誰かの心に引っかかるドラマになっていたのだろうか。*6

萌えが足りない、という指摘について。

あるイラストレーターさんが「まれにはあまちゃんにあった萌えがない」と言って、ミズタクのことを引き合いに出していました。
あまちゃん」と「まれ」は全然別物なのに、なんで「あまちゃん」が出てくるんだろうってところは置いといて、「まれ」にもちゃんと萌えはありました。

一番の萌えは、何と言っても「まれと圭太の身長差」です!!!!!

あまちゃん」で唯一録画を残したのは、当然ながら前髪クネ男の回ですが、「まれ」で唯一録画を残したのは、ライブハウスでのまれの告白シーンです。*7
圭太(というか賢人くん)の数あるラブシーンの中でも、これは今のところナンバーワンのシーンです。
最近は背の高い女優さんが多いので、太鳳ちゃんくらいの子との身長差がすごくリアルカップルっぽくて、よかったです。*8

それと、元治さんと弥太郎さん(4代目)の掛け合いですね。
あの素敵ジジイ二人組のシーンは、毎回毎回本当に萌えました。

他にも、妙に達観してる一徹とか、ズタボロの徹さんとか、緊張しまくる大悟さんとか、主に男性陣に小粒の萌えが豊富だった印象。
もちろん、大輔さんにも萌えましたよ。まれに振られるシーンが一番好きです。

なにはともあれ、そのドラマを好きか嫌いかはまったくの個人的な嗜好の問題で、今回みたいにみんなに批判されてるドラマを自分が好きになることもあるし、みんなが絶賛してるドラマを自分は嫌いだと思うこともあるし、ほんと、巡り合わせですね。

個人的には、半年間まれを見続けて、本当に楽しかったしいっぱい感動したし*9、「え!」とか「ぎょ?!」と思うような、一般的には「ふざけんな」って感想になるような展開でも、わたしにとってはすべてが楽しみでした。

そんなわけでスピンオフも楽しみにしています。

「あさが来た」はパスしますが、「とと姉ちゃん」は見るかも…
これを機に、たまには朝ドラ通して見てみるのもいいかな、と思うようになりました。
そういう意味でも、まれちゃんありがとう。

*1:文字通りのファンタジーではなく、現実味がない、という意味でのファンタジー

*2:主演二人以外にも、好きな役者さんだらけでした。

*3:朝ドラは流し見するもの、と言われればそれまでですが。

*4:昔お父さんがめったくそに文句を言いながら毎晩毎晩野球中継を見ていたのと同じことなのか?

*5:まあ自分の世代では珍しいというだけで、もっと若い世代にはそれくらいドライな夫婦関係もあるのかもしれません

*6:文句を言われない、どこかでよく見たドラマにはなっていたかもしれませんが

*7:太鳳ちゃん自身も、あさイチで「一番印象に残ったシーン」と言ってたあれです

*8:そんなわけで「orange」もまんで楽しみにしてます。

*9:最終週はほぼ毎日号泣