映画の日だから2本観た。「her/世界でひとつの彼女」と「渇き。」
2本観て来た。
同じ映画館内でハシゴ。
前日に予約しといてよかったかも。結構混んでた。
1本目は「her/世界でひとつの彼女」
今より少し未来のお話で、リバー・フェニックスの弟のホアキンが主演。
彼が恋する人工知能(OS)の声がスカーレット・ヨハンソン。
ホアキンの女友達にエイミー・アダムス。
別居中の妻がルーニー・マーラ。
ルーニーは、役によって印象が全然違うので、途中まで気付かなかったよ。
バーチャル恋愛か…と構えて見始めたんだけど、相手が人工知能とは言え、描かれるのはごくごく普通の恋愛と一緒*1で、彼女に実体がないってだけで、これはこのまま乗り越えていけるんじゃないかと一瞬思った。
まあ予想通り、そんなに簡単には行かないんだけど。
人を好きになってもっと近づきたいと思って、下らない話も自分の内面の深刻な話も、全部話し合える相手がいるって、こんなに幸せなことなんだよなーってほのぼのしつつも*2、でもその相手に実体がなかったとしたら……それを乗り越える自信はわたしにはない。
でも近未来。
映画の中で、街を歩く主人公とすれ違う人たちが、みんな独り言をつぶやいてるように見えるのは、全部OSと会話してるからなんだよね。
わたしはSiriってどうしてもなじまなくて使ってないけど、うちの旦那さんは結構使ってる。他にも周りに音声でスマホをコントロールしてる人が何人かいる。
今の日本みたいに「歩きスマホ」じゃなくて、将来的には「歩きトーク(ただし相手は人間じゃない)」という未来が来てもおかしくないんだなって思いました。
ホントにね、人間とコンピューターの関係の、ひとつのあり得る形が描かれていたってことと、その関係が、ごく普通の(もしかしたら普通よりも良好な)恋愛関係だったってことに、不思議な感覚を味わいました。
せつない恋愛話に共感しながら、でもでも…って。
しかも、声がスカーレットじゃないすか!!!!
監督が「あえて美しい肉体を持つスカーレットを選んだ」って言ってた記事読みましたが、ものすごく効果的でした。
うー、切なかった(思い出したw)
「あー面白かった」で終えられる映画ではなく、ズーンと余韻が残る映画でした。
でも、決して暗い気持ちではなく、甘酸っぱいようなほろ苦いような、大人の後味。
あ、PG12のレイティングついてます。エッチな会話があるからね。
なまっちょろいお子ちゃま恋愛ストーリーに飽きてる人におすすめ。
で、「渇き。」ですが。
いやあ…ひどい映画だった(褒めてます!)。
中島監督らしさ全開、エログロに痛いのゲスいのクズのオンパレード。
潔いくらいで、わたしには逆に痛快でしたけど、ダメな人はまったくダメでしょうね〜。
途中で若いカップルが退席して行きました。
どういう映画だと思って来たんだろ…(;´∀`)
この後の彼らのデートの雰囲気が心底心配になりましたw
まーとにかく役所さんがクズ中のクズ。
セリフの〆に「クソッ!」連発、汗と泥と血でどんどん汚れていって、最後の方ほとんどゾンビ。
ホラー映画かと思った〜w
こういう役所さんもまたいいですね。
まあ、役所さんはもともとそんなに美中年スペックで売ってる俳優さんじゃないと思うけど、この汚さは尋常じゃない域でした。よくぞやってくれた。
出て来る人出て来る人みんなクズで、しかも誰1人としてクスリとも笑えない。
そこがちょっとキツかったかな。
同じクズでも「凶悪」のピエール瀧さんやリリーさんとは全然違うし、同じスプラッタバイオレンスでも「地獄でなぜ悪い」のノリとも違う。
人工的ではあるんだけど、笑える域にギリギリで入り込まないバイオレンスが実はいちばん観ててキツいのかもなー。
終わったときにはドッと疲れてた。
でも、わたしはこの映画好きですね。
時間が細切れで行ったり来たりしたり、アニメーション使ったり、音楽の使い方なども中島監督らしく、何より俳優さんの熱演がどの方もほんっとに素晴らしくて!!
特に、オダジョーと妻夫木くんがよかったですけど、黒沢あすかさんの崩れっぷりにも惚れたし、ふみちゃんの絶叫に耳を塞ぎ、中谷さんの乾燥した肌に悲哀を感じ、橋本愛ちゃんの純粋さに救われた。
加奈子役の小松彩夏小松菜奈ちゃんの女優魂にも震えたわー。
こんな汚れ役をやりつつも、やまぴーと「近キョリ恋愛」やるわけですからね、これからが楽しみな女優さんです。
俳優陣、とにかくみんなものすごいことになってました。
オダギリさんの美しさったらなかったし、妻夫木くんのダレっとした立ち方しゃべり方、イラッと来るニヤニヤ顔など、普段キラキラしてる人たちが、その演技力で一気に脂ギッシュに、ホコリっぽく俗っぽくなる姿を見るのも、映画鑑賞の1つの醍醐味ですからね。
堪能させていただきました。
あ、ファブリーズでがんばってる高杉くんがこれまた汚れ役でがんばってました。
ちょっと昔の福士(誠治)くんに似てるね。
それと「BORDER」の青木さんもものっそ悪い役で高杉くんに…(以下自重)
あと、新人の清水くん。ものすごくがんばってました。ちょっと昔の黒田勇樹に通じるもんがあるね。
とにかく役者さんのギリギリ加減がすごかったです。
中島監督、「進撃の巨人」撮るのやめてこんなことやってたのかー!!*3
時系列がいつも以上に細かくバラバラになってたり、アップ多用とぐわんぐわん揺れるカメラでワケわからん部分もありましたが、こんな荒々しい中島監督も嫌いじゃないです。
好きなシーンは、ファミレスで加奈子の同級生と黒沢さん、役所さんが話すとこ。
あの話の通じなさ加減がなんか分かる…ほとんど異星人との会話ですよね。
うちの中学生もあんな時あります。
あとは、やっぱりオダギリさんと役所さんのシーンですよね!!!
あそこだけ巻き戻してもう一回観たい(観たくないシーンもたくさんあるので、ホントにあのシーンだけ)。
それにしても、この映画でのホントのクズはおじさんたちですよね。
以上2本、観に行ってよかったです。
やっぱり映画観に行くと元気出る。
映画だけ観て大人しく帰ってくれば、そんなに疲れないことも分かった。
今月もできるだけ行こう。
次は娘と「マレフィセント」かな〜。
*1:むしろ、普通の恋愛ものよりもっと感情移入できた気も。
*2:自分自身の恋愛経験は置いといてw
*3:中島監督の進撃、観てみたかったなあ…園監督の「デトロイト・メタル・シティ」に次ぐ、自分的幻の傑作シリーズ第2弾…